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君の涙ドナウに流れ ハンガリー1956

グランパスの今シーズンのホーム最終戦観戦の後、観に行った。

もともと「アンダーグラウンド」や「存在の耐えられない軽さ」、「さらばわが愛」とか政変や歴史のからんだ映画がとても好きなので、予告編を観たときは必ず観ようと思った。ロシアや東欧の国々がまだ共産主義国家だった頃の重苦しさと寒々しい風景がなんか懐かしい。

映画の冒頭で水球のハンガリーチームとソ連チームの親善試合のシーンが出てくるが、プールの正面に貼られたポスターが赤を基調としたいかにも共産主義~的なポスターが!子供の頃オリンピックで妙に共産国が強かったよな、みたいな感じが蘇ってきた。

主人公はイケメンの水球選手サボー。大学生の友人を介して活動家の美人の女学生vヴィキにひとめぼれ。普通なら有能はスポーツ選手はいくら美人は好きでも主義主張を振りがざす強い女には惚れんだろうなぁと思いつつ、2人はいつしか恋に落ちる。しかしそれは水球選手として純粋な夢であったオリンピック出場と、一市民として内戦に陥った国との狭間で揺れ動くことになる。

一方ハンガリーでは自由を求める市民にソ連の手先や秘密警察が発砲し大混乱に陥る。映画を見る前はもっと若い男女の恋愛と水球のシーンが多いのじゃないかと思ったんだど、戦闘シーンがかなり多く、死体やけが人もとても生々しく描かれている。この時主人公はメルボルンオリンピックに出場しており、戦火に燃えさかる故郷をTVニュースで見た後、ソ連チームとの戦いに挑む。試合はソ連に勝ち優勝するが、それを手放しで喜ぶはずの恋人や国民はそんな状況ではなかった・・・

最後はとても悲しく、結局その後56年から89年になるまでハンガリーには自由はならなかったことをそのまま象徴しているようだ。

戦闘シーンも2人の恋愛もとてもストレート。あの時代何があったのか、市井の人々はどうだったのか、長くハンガリーを離れてアメリカで暮らした、この映画プロデューサーの真意がそこに汲み取れる。

映画を観終わった後パンフレットを購入。「オシムの言葉」の作者、木村元彦氏の文章が載っている。もちろんオシム監督のことが書かれており、電車でパンフを読みながらちょっと泣けてしまった。

陳腐な表現だけど、平和ボケした日本人には観て欲しい映画だと思った。
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by chloe7513 | 2007-11-25 22:15 | cinema